物心ついた頃から『三度の飯より本が大好き』で、おこずかいはすべてマンガや小説などの本題につぎこんでいました。

マンガにいたっては、少女漫画も少年漫画も面白いものは分け隔てなく読んでいて、親戚の家に行くと、従兄の部屋に入りびたり少年誌をあさって読みふけっていました。

それで子どもの頃は親から『本の虫』と呼ばれたものです。でも、まさか大人になって自分でお話を書いたり、本を作って売ったりするようになるとは、夢にも思いませんでした。

本の虫だった私も結婚し子どもができると、時間的にも経済的にも余裕がなくなり、すっかりマンガや小説から遠ざかり、育児と仕事に追われる日々を過ごしておりました。

そんなある日のこと、ママ友とたまたまマンガの話をして盛り上がってしまいました。聞けば彼女は昔マンガ研究会にいて、自分でマンガを描いていたと言うのです。

まさか子どものお友達のお母さんにマンガを描いていた人がいたとは!優しい彼女は私に読み切れないほどのマンガ本を貸してくれて、
私は育児と家事と仕事の合間に、またまた本の虫に戻ってしまったのです。そして勢いに乗って、私たち二人で同人誌を作ることになりました。

彼女がマンガを描いて、絵の描けない私はお話を書くことになりました。

そして噂には聞いていたコミックマーケット、通称『コミケ』に参加することにしたのです。場所はお台場のビッグサイト!私たちはまるで本物の作家のように、締め切りを決めて、発行部数を決めて、リーズナブルな印刷所を探しました。

私たちは作家で、編集者でした。それはワクワクする経験でした。

しかし、実際にお話を書こうとパソコンに向かうと、何も思い浮かびませんでした。来る日も来る日も、最初の一行どころか、一文字も浮かばないのです。

「やばい、書けない。私には才能がなかった。お話を書くなんて無理だー」と真っ白なワードに向かって叫ぶ日々。

楽しくてせつない話を書きたい、と思っていましたが、どうにもこうにもストーリーが浮かばないのです。

それでも容赦なく締め切りが近づいてきます。ママ友も久しぶりにマンガを描くので、なかなか苦労しているようでした。

二人で悩んで悩んで、でもなんとか締め切りまでにお話を書き上げました。タイトルは秘密にしておきますが、淡いピンクの表紙の薄い本です。

私たちはこの本を10冊刷って、当日ドキドキしながらビッグサイトに向かいました。ビッグサイトの中の人込みと膨大な机の数に圧倒されながら、私たちはなんとか自分たちの机を見つけて、本を置いたのです。

会場には人気作家さんの机に列をなした大勢のファンの人たちがいたり、自分たちより若く場慣れした人たちが楽しそうにしていました。

どうしても浮いているような気がして落ち着かず、目の前を通り過ぎる人と目をあわせないようにしていました。勢いでここまで来たけれど、どうしたって自分たちの本が売れるとは思えませんでした。

でも、売れたんです。(≧▽≦)1冊だけ。

1冊でもいい、誰かが私たちの本を買ってくれた―それは奇跡のような出来事でした。「もう神様かもしれないね」と二人で喜び合いました。

この成功(?)で、私たちはすっかり本作りにハマってしまいました。

次の5月のイベントに向けて、着々と、いや本音を言えば、また苦しみながらお話を作っています。(*^_^*)